韓国では日本企業に対し、戦時中の元徴用工に賠償を命ずる判決が次々と出され、差し押さえさえ行われている。日韓基本条約と請求権協定によって双方とも財産、権利、利益の請求を放棄すると国家間で約束しているにもかかわらずである。韓国政府は「司法の判断である」と判決を尊重、日韓折半で基金を設立する案を提案している。。
引揚者としての体験から言えば、元徴用工たちの不満の発端は、自分たちが日本にいた間に日本が敗戦、日本人の財産収奪のチャンスを逃したという点にあった。戦後の仁川の混乱は元徴用工が帰国してから始まっていることは実情を物語っている。その混乱は米軍が制圧して彼らのフラストレーションは高まり、時を経て日本企業に矛先を向けてきたと推定できる。
元徴用工への賠償が認められるとすれば、請求権協定によって放棄させられているわれわれ引揚者が韓国に残してきた財産の返還も認められるべきである。もともと古くからの国際法では、戦時でも私有財産を尊重すべきという原則がある。朝鮮での財産が全て没収されたことこそ異常なのである。引揚者とその家族はこぞって韓国の裁判所に、財産の返還請求をしたらどうだろうか。