広島地裁は7月29日、原爆投下直後に降った「黒い雨」を浴びながら地域外だとして被爆者と認められていなかった84人について、被爆者として認定するよう国に命じる判決を言い渡した。画期的かつ妥当な判断である。
黒い雨を浴びた人で被爆者と認定されるのはこれまで、気象台観測によって大雨が降ったとされる地域を線引きし、その内側の人だけを対象としてきた。被爆者手帳が交付されると治療費などで国の支援が得られる。しかしその後の調査で黒い雨が降った地域はかなり広範囲にわたることが判明、線引きの外側にいた人のなかにも被爆者特有の症状を示す人が多数現れた。広島県と広島市は国に対して被爆者援護区域の拡大を求めてきたがが、国は対象者が非常に拡大するとして認めてこなかった。今回の判決はこうした国の不作為を批判する意味もあった。
判決を受けて広島県、広島市は国に対し、控訴せずに判決をそのまま受け入れるよう要請している。当然である。国はこの際、判決を受け入れるべきである。