6人の学者が会員に任命されなかったのは学問の自由の侵害だとして問題になっている日本学術会議だが、会議自体が先端技術開発を妨害している疑いが出てきた。自らが学問の自由に反する行動をしているのである。最近、日本の研究論文が目に見えて減っている一因とも考えられる。組織の見直しが必要なようだ。
ハイブリッドロケットの研究で知られる永田晴紀北海道大学教授が明かしたところによると、北大関係で2件の先端技術開発研究が日本学術会議の執拗な反対で中止になったという。一つは2016年に申請していったんは了承された「微細の泡で船底を覆い、船の航行の抵抗を減らす」という流体力学の専門家の研究。成功すれば燃費を10%は減らせるという画期的な研究になるはずだった。ところが日本学術会議は「この研究は軍事に応用される恐れがある」として猛反対、幹部数人が北大総長室に押しかけ、研究費の助成を辞退するよう迫った。このため北大は2017年末、辞退を表明、研究は中止された。日本学術会議は文科省予算執行に大きな権限をもっているため、北大としても従うしかなかったらしい。
もう一つは、永田教授が防衛省の安全保障技術研究推進制度に応募しようとした「個体燃料と液体燃料を組み合わせロケットの推進力を高める研究」。これは前例から申請するのは無理と判断した北大自身が補助金申請を見送ったという。
このほかいくつかの大學がロボット研究やAI研究を始めると「軍事技術につながる」として恫喝しつぶしたケースも報告されている。いずれも「軍事目的のための科学研究は行わない」という日本学術会議の声明に基づくものだが、コンピューターをはじめ軍事技術から生まれた先端技術は非常に多い。日本学術会議のように次々と先端技術開発研究をつぶしていたのでは日本の国力は落ちるばかりである。この際、日本学術会議そのものを解体するか、民間の組織にするか検討すべきである。